森について語ろうー浜 美枝・C.W.ニコル
浜 美枝さん(元女優)が長野の黒姫山に居を構えるC.W.ニコル(作家)さんを20年ぶりに訪れた模様を2008年5月16日放送のNHK 生活ほっとモーニングから抜粋で、2回に分けて紹介します。
長野の黒姫山に居を構える作家、C.W.ニコルさんは、22年前から森の再生に取り組んでいます。「豊かな森は生きる力を与えてくれる。森は心の再生」とニコルさん。 この森で、間伐材でのキノコ栽培も行っている。一方、「自然の中で子育てをしたい」と30年前に箱根に移り、古民家に暮らす元女優の浜美枝さん。自然に包まれて生活する中で、農業や食料、環境問題に深く関心を持つようになり、全国の農村を訪ね歩き、有機農法に取り組んだ経験もあります。
黒姫山の麓(ふもと)の長野県信濃町のニコルさんの森はアファン(ケルト語で「風が通るところ」)の森と名ずけられ約20ヘクタールあります。 自然に湧き出た水には「わさび」が自生している。手入れをするようになって、170種類の山菜が自生するようになった。 熊やボンドフクロウも顔を出すようになった。鳥のさえずりや木の葉づれの音など、森の音が集まるように作られたサウンドシェルターにニコルさんは浜美枝さんを案内した。
ニコルさんの話では、この森はイオンがマイナス6000だとのこと。 子供が遊び疲れても、木に寄りかかって休んでいると直ぐ元気になるとのこと。
浜美枝さん「深呼吸すると頭の奥までクリーンな気持ちになるわ」
ニコル「科学的にも生きている木の森に入ると血圧が安定し、ストレスが下がりますね。
僕は三歳の時、重い病気、リュウマチになって、心臓と足が悪くなった。学校に行ってもスポーツが出来なかった。その時、お祖母ちゃんが強くなりたいなら、森に行って大きな木を選んで、木を抱いて、力を貸して下さいと頼みなさいと教えてくれた。そして長い夏、2ヶ月の間、毎日行った。そして一寸元気になったらお祖母ちゃんが木に登りなさい、そこで、あなたの文句は皆聞きたくないから、木に言いなさい」(笑)
浜美枝「私も箱根にいる時は、なるべく、雨が降っても小雨ぐらいだったら山を歩くんですよ。そうすると、いつも手を合わせて、おはようございます。有難う御座います。今日もこんなに幸せに生かされているって・・・」
ニコル「非科学的かも知れないけれど森は人を好むんですね。」
浜美枝「豊かな森は私たちに何を教えてくれますか」
ニコル「生きる事だと思うんですね。自然に生きる事ですね。
元々、人の遺伝子は海と森から来ているんですね。だから森にいると、周りは全部生きているんですね。食べ物も(森に)あるし、何処を見ても、(もし)醜いものがあれば、それは人間が置いたものですね。」
浜美枝「そうゆう森を再生して、ニコルさんは子供たちを森にまねいていますよね。どうしてそう思われたんですか?」
ニコル「僕は22歳のとき、日本を旅して日記に書いたんです。日本は子供の天国だと。Japan is Heaven for kids. 夏はプールが無くても川で遊んだり、明るい林で遊んだり、港に綺麗な浜が何処でもあったし、珊瑚礁(さんごしょう)もあるし、本当に豊かな自然の中で子供が遊んでいたと。 ここに住んでから全然子供は森に遊ばない。この森が財団のものになった時、どうやって森は人間の為にもなるか? 大勢の人間は入れたくないです。森に熊が来なくなるし、花が消えるし、でも一番弱い立場の人間はどうか? 友人に聞いたら施設に預けられている人は圧倒的に増えているし、彼らには物は贈られて来るけど、自然はないです。自然の経験が無いですね。昔の日本の子供のように一寸でも自然の森の中で遊べたら、彼らの自然に対する、他の人間に対する気持ちが、少し、心の窓が開くんじゃあない・・・で、やってみたら素晴らしいですね。 実は、12歳の可愛い少女が来て、3日間、森とつき合った後で、彼女が私は大学に行って、勉強してそしてアファンのレンジャー(森林の管理者)になりたいと、僕は感動しました。OK!Why not!(そのような人が)来てくれたら絶対歓迎しますよ。」
浜美枝「私も子供を森とまではいかないですけど、出来れば自然の中で育てたいなーと思って、箱根に住んで30年なんですけど、一番、何が良かったって、森が子守をしてくれるんですね。親が手を出すよりも遥かに。 蛇を取ってきたりとか、蛙(かえる)と仲良しになったりとか、植物の名前は私より遥かに良く知っているし、学校の帰りは寄り道してくるんですね。 帽子に一杯、土筆(つくし)! はっきり言って土筆(つくし)を持ってこられると大変なの、皮をもう全部取って・・・学校の勉強は勿論大切だけれど、幼稚園、小学校の頃に森の中で十分遊べて、とにかく、精神的・肉体的に健康な子供に、普通の子供ですけど、育つ事が出来たのは、本当に、森に感謝って言う以外にないですね。」
浜さんの箱根の自宅は30年前に、12軒の古民家を解体して出来た2,000本の木を使って建てられました。
浜美枝「箱根の家は、私の家ではなくて、一軒一軒の家々が、木が歴史がありますよね、思いもあるし、そういう方達の家を私がお預かりしている、自分達の家を思ったことは一度も無い。 木が喜んでくれている・・・特に、例えば、部屋の中でバイオリンを弾いたり、ピアノを弾いたりすると、木が喜ぶんですね。柱とか、梁(はり)とか・・・」
ニコル「そうですよ!」
浜美枝「あのー喜ぶのが分かるの、響くの!非科学的ですけど。」
ニコル「そうですよ!歌ったり、それから太鼓でも大丈夫ですよ。アコースティックだったら森が喜ぶ。 黙って聞くんですね。最初は。 一回、やってみたんです。チェロを弾く人が来て。僕は、皆に頼んだんですね。演奏の後で、手を叩かないで下さいと。そうしたら、演奏の後で、ワイワイワイワイ、鳥が鳴く、もう、木がふーとなって・・・それは一回だけでなく、何回も経験しました。 でも、エレキは駄目ですね。」
浜美枝「私の家も、音楽・・・バイオリン、横笛、ピアノ、なんでも、柱、梁、板の間も皆、喜びます。生きているのね、きっと。
私はジムにも通わない。エステにも行かない。(笑い)でも、充分、森から戴くんですよね。何か、「気」を戴くって感じ・・・」
浜美枝のプロフィール
1943年 東京で生まれる
1960年 女優デビュー
1967年 映画「007は二度死ぬ」で日本人初のボンドガールに抜てき。 40歳を過ぎてから本格的に農業問題。食料問題に関わるようになり、全国の農村漁村を歩く。30年前から箱根に暮らし始める。
C.W.ニコルのプロフィール
1940年 イギリスの南ウェールズで生まれる
1962年 空手修行のために初来日
1980年 長野県の黒姫に居を構える
1986年 荒れ果てた山林を買い取り、森の再生に取り組み始める
1995年 日本国籍取得
2002年 「C.W.ニコル・アファンの森財団」を設立。理事長に就任
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